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よこはま動物園ZOORASIA

今日は、よこはま動物園ZOORASIAに行ってきました。ここも、前から行こうと思ってなかなか行けてなかったところです。前評判も高く、それなりに期待して行きました。

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平日で季節はずれの上、着いたのが午後1時と遅かったこともあって、園内は比較的空いていて、ゆっくり見て回ることができました。

が、結論としては、日本初の本格的なランドスケープ・イマージョン型の動物園として10年前に鳴り物入りでオープンしたものの、今となっては、むしろランドスケープ・イマージョンの限界と欠点を強く感じてしまいました。


1.ZOORASIAの特徴

(1)景観設計と造園技術は素晴らしい

「世界一周の動物旅行へ」のキャッチコピーの通り、アジアの熱帯雨林、中央アジアの高地、亜寒帯の森、オセアニアの草原、日本の山里、アマゾンの密林、アフリカの熱帯雨林を、景観としては忠実に再現しようとしています。その景観の一部に動物達を配置することで、訪問客がまるで各地を訪れてそこで動物を見たような体験を狙っています。
ランドスケープ・イマージョンとは、動物を檻に入れて展示するのではなく、動物の生息地に溶け込むような展示をして、見る人にあたかも動物達が生息している場所に行ってみているかのような感覚を持ってもらうための展示手法です。多くの場合、擬木や擬岩をセメントで作って、生息地っぽく見せています。簡単な方法だと、室内展示で壁にそれっぽいペイントをするなどで、この言葉(ランドスケープ・イマージョン)がアメリカで生まれる前から、似たような試みはありました。例えば、今回改装されることになりましたが、上野動物園のホッキョクグマ展示もランドスケープ・イマージョンといえば、そう言えないこともないです。
従来の柵や檻で囲っただけの展示手法よりも広い敷地を必要とすることや、施設建設コストが馬鹿にならないことから、日本では、比較的資金力のある大規模な動物園で、それも一部の展示でのみ行われていることが多いです。恐らく、ズーラシアもかなりの投資をしたと思われます。

写真は、ユーラシアカワウソの展示スペースです。ガラス面の向こう側は、まさにカワウソの生息地である渓流を再現しています。

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(2)一筆書きの通路設計が訪れる人をスムーズに誘導する

1周約3kmで、散歩コースとして程良い距離です。展示エリアは、一筆書きの通路上に順に配置されていて、訪問客はどういう順番でまわるべきかを悩む必要がありません。また、すべての展示をたどれるので、見逃すこともありません。一応、ショートカットが3箇所あり、途中で見て回るのを止めたり、引き返したりすることにも対応できるようになっています。

(3)ベンチや休憩施設が充実していて、思い思いのペースで回れる

ピクニックや休憩のできる広場が全部で5箇所、カフェ、レストラン施設が2箇所あります。座って休憩できるベンチは至るところにあります。ガラス面での展示ブースも殆どが屋根付きで、日差しの強い夏や、雨の日でもゆっくり見て回れる工夫が感じられます。下の写真はスマトラトラの展示舎ですが、ガラス面が絵画のようにも見え、まるで美術館のようです。また細かな装飾も、東南アジア風にしつらえており、ランドスケープだけでなく、インテリアに至るまで気を配っています。

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このように、ファシリティとしては素晴らしいものを持っています。が、主役であるはずの動物が印象に残りませんでした。


2.ZOORASIAでのランドスケープ・イマージョンの限界と欠点

いつもの基準で採点する前に、気になったところを書きます。

(A)景観はすばらしいが、わざとらしく見える

1つ1つの展示スペースは、本当によく作られています。が、似たような展示スペースが20以上も続くと、せっかくのランドスケープ・イマージョンも、似たような展示が延々と続いているだけの"ランドスケープ・コンフュージョン"になってしまいます。
1999年開園ですので、企画構想は1990年くらいだと思います。この頃はまだランドスケープ・イマージョンという言葉もありませんでしたので、恐らく東京ディズニーランドあたりを意識した個別アトラクション重視型の企画だったのかもしれません。が、全体としてめりはりのきいていない、またその結果としてリアリティが乏しく見えてしまう景観は、むしろ寂しさを覚えます。この辺がランドスケープ・イマージョンの限界ではないかと思います。

(B)ヒトと動物のエキサイティングな出会いがない

動物との意外性を持った出会いの場がありません。動物達は、厳重に柵や檻や壁でヒトから隔離されています。ここにはガラス面や堀を隔てた出会いしかなく、隔離されていることが前面に出過ぎています。動物との遠すぎる距離感が気になりました。

(C)動物達が活き活きしていない

同じランドスケープ・イマージョンの展示をしている上野動物園のゴリラの森では、この展示に変えてから、ゴリラたちが群れを形成し、繁殖も進んだそうです。良いランドスケープ・イマージョンは、動物達の行動や生態も良い方向に変えていきます。が、ここでは動物達が活き活きしているとか、繁殖が進んだなどの話は聞きません。オカピなどの稀少動物は多いのですが、絶滅危惧種の保護と育成などの使命が前面に出ているようには見えません。むしろ、ストレスのせいか常動行動を繰り返す動物、体調を崩して展示中止となっている動物が多く、動物の健康と心理面でのケアが大丈夫かどうか不安になりました。

(D)動物園としてのミッションが見えてこない

 ヨーロッパやアメリカでは日本と比較にならないほど自然保護団体の活動が活発で、団体によっては動物園自体を人間が動物を捉え、閉じ込め、見世物にするという冒涜行為の象徴であるとして、廃絶運動をしているところもあります。そのこともあって、動物園の存在意義をMISSION STATEMENTという形で明確にアピールしているところも多いです。
一般的に動物園の役割は、動物の調査研究、野生動物の保護と自然への回帰への貢献、絶滅危惧種の保護と繁殖、などが多いです。最近では、動物の保護と育成を通した生態系システムの重要性と保護を掲げるところも増えてきています。最近訪れたシンガポール動物園でも熱帯雨林の生態系を前面に出していました。
日本でも、例えば、上野動物園のゴリラは霊長類の生態研究に貢献していて、研究員が訪れることも多いそうです。また、札幌の円山動物園は繁殖基地宣言をしていて、ホッキョクグマやユキヒョウなど絶滅危惧種の繁殖に力を入れています。繁殖に成功すると「動物の赤ちゃん」効果で、集客力も高まります。円山動物園だけでなく、このところ1〜2年毎に赤ちゃんが誕生しているアドベンチャーワールドのパンダが良い例です。
良い動物園は、訪れただけでこうしたミッションを感じさせてくれます。が、ズーラシアでは見えてきませんでした。園内マップに書かれている「世界の動物のふるさとを歩こう!」も、主役が動物ではない、「ふるさとを歩こう」というテーマパークではないかと不安になりました。

まず動物達に元気と活気を取り戻させることと、場合によっては、横浜市内だけで3つも動物園があることの意義から再考する必要があるかも知れません。

いつもの基準での採点は、良い設備を持っているだけに、今後の改革に期待して、辛口です。

A.展示面積が十分広い     →○
B.展示動物の種類が多い   →×
C.自然に近い形で生態観察できる →× (景観は模してあっても、殆どの動物は形態展示)
D.動物と直接触れ合えるしかけがある →×
E.無理のない(自然な)アトラクションが充実している →×
F.かわいい、またはひょうきんな個体がいる →×
G.そこに居る人間(スタッフまたはゲスト)を見ていても楽しい →×

最後に、園内にカラスが多いことが気になりました。港北ニュータウン開発が、確実に生態系を破壊してきたことの象徴かもしれません。今日の訪問は、いろいろな意味で考えさせられました。

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